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モニクル初の認定スクラムマスターに聞く”プロセス改善”を担う役割の魅力

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「金融の力で、安心を届ける。」をミッションに掲げる株式会社モニクル。モニクルグループは、モニクルをはじめ、金融サービス事業を展開する株式会社モニクルフィナンシャルと経済メディアを運営する株式会社モニクルリサーチ(旧:株式会社ナビゲータープラットフォーム)で構成されています。

モニクルには、モニクルグループを支えるエンジニアやデザイナー、プロダクトマネージャー、マーケター、ディレクターなど、さまざまな領域のプロフェッショナルが集まっています。

そのうち、モニクルの開発部は、グループの各種プロダクト開発や、ソフトウェア・サービスの品質向上などの役割を担っています。株式会社モニクルフィナンシャルが提供するはたらく世代のお金の診断・相談サービス「マネイロ」をはじめとするプロダクトをモニクルのエンジニアが技術面で支えています。

今回は、開発部の和田太陽さんに、これまでの経歴や仕事内容、今後の展望などについて話を聞きました。

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株式会社モニクル
エンジニア

和田 太陽 Hikaru Wada

大学卒業後、ベンチャー企業でAndroidネイティブアプリ開発に従事。その後、iOSアプリ開発の経験を経てモバイルアプリ開発チームのテックリードを経験。モニクルでは、開発チームでスクラムマスター兼エンジニアを務める。

モバイルアプリが原点、数社でネイティブアプリ開発に携わる

本日はよろしくお願いいたします。和田さんは、モニクルに入る前はどのような会社でどんなことをやってきましたか?

大学では理系の学部に入って、研究室でソフトウェア開発やアプリケーション開発について勉強したのですが、当時はちょうどスマホが普及し、モバイルアプリ開発が盛り上がっていた時期でした。「みんなが欲しいアプリを作ろう」というムーブメントがあって、しかも当時はスマートフォンのアプリ数はそこまで多くなく、アプリを作ってリリースするとインストール数が簡単に伸びる時代でした。挑戦しがいがあって、すごく面白かったんですよね。

そんな中、住んでいた名古屋にAndroid開発者向けの勉強会があることを知り、参加してみることにしました。そこで、そのコミュニティの発起人であるモニクルCTOの塚田さんに出会いました。

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学生時代から塚田さんとのご縁が始まったんですね。当時、塚田さんの印象は覚えていますか?

今とあまり変わらないんですけど、ずっと朗らかな感じで何も考えていなさそうに見えて、実はめちゃくちゃ考えてる人という印象でした。当時からエンジニアとしてもカリスマ性があって、信頼できました。大学時代にアルバイトしていたスタートアップ企業は塚田さんから紹介されたのですが、卒業後はそのままその会社に新卒で入社し、ARを使ったAndroidアプリの開発に従事しました。その会社で出会ったのが、現在一緒に働いているかつまさんです。

その後、塚田さんもその会社に合流したのですが、開発部門が台湾に移ることになったので、チーム全員が台湾に移住しました。

 

入社してすぐ台湾に移ったんですね。かなり鍛えられたのではないでしょうか?

そうですね。大学を卒業して半年後に台湾に行くことになりました。台湾では、チームで一緒に過ごす時間も自然と長くなったので、一緒にプロダクトを作る中で、強い信頼関係が築かれたと思います。当時はARのサービス自体がそこまで売上を作れるような規模の大きさではなく、「これを作り続けて、あと何ヵ月後サービスが生き延びれるか」みたいな状況だったので、全員が本気で開発に取り組むという経験をそこでしました。

1年後に帰国してから、会社を転々としましたが、軸足はあくまでネイティブアプリ開発エンジニアとして、スマホを使ったサービスを展開する会社で働いてきました。どの会社でも、新規事業の仮説検証を進めるフェーズでジョインすることが多く、ほとんどは1年から2年でシュリンクしていました。その後、ある程度の規模がある決済アプリの事業会社に転職したのですが、結局そこも入社してから1年経たないうちに買収されることが発表され、退職することになりました。 

割と短いスパンでの転職を繰り返されていた感じなんですね。

そうですね。自分が一生懸命作ったものが、たくさんの人に使われずにシュッと消えていく現実は結構しんどくて。それまでは自分が良いと思うものを作ろうと思って開発自体を楽しんでいましたが、そうではなくて、やっぱり誰かに必要とされるものを作りたいなっていうマインドに変わってきましたね。世の中で意味と価値があると思われるものを作りたい、そうじゃないと売れないし続かないという現実に気づきはじめたころでした。

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モニクルに入社した決め手は事業に対する安心感と期待感

その頃に、モニクルへの転職を検討されたのでしょうか?

繰り返す転職活動に辟易しながらも、何社か選考に進んだりしていましたが、その中で会社の選び方や働き方についてよく考えるようになりました。この時、塚田さんには転職についても相談をしていました。実はそれまでも転職するたびに塚田さんに相談をしていて、僕にとっては人生のメンターという感じでした(笑)。

そんな折に塚田さんから「うちの会社に来ないか」と誘われたことがきっかけで、最終的には他社の内定を全て断って入社を決めました。

入社した決め手はなんでしたか?

先ほどお話ししたように、当時は立て続けに事業がシュリンクした状況が続いてテンションが落ち込んでいたので、安定的に売上が作れる事業をやりたいと思うようになっていたんですよね。変な話かもしれませんが、エンジニアが作ったプロダクトを使ってマネタイズするようなビジネスであれば、作ったものが売れるかどうかは作ってみないとわかりません。また、会社としては作るまでの間の収入源を、別に確保する必要があります。

一方で、弊社のビジネスモデルは有価証券や保険の販売による仲介手数料収入などが主な収入源です。つまり、直接プロダクトを開発しなくても、既存のサービスやオフラインの組み合わせだけで売上を上げられる状態を作ることができます。そうした基盤がある前提で開発することができ、またその開発によって、売上を何倍にも拡大できることは大きな魅力でした。そこに対する安心感と期待感があったことが入社の決め手ですね。また、昔からの知り合いの先輩エンジニアたちとまた一緒に仕事ができることにもワクワクしていました。

入社後、和田さんは台湾に移住されたんですよね。

初めて住んだ海外での経験が忘れられず、入社後半年で再び台湾に移住し、約3年間フルリモートで働きました。その間、同じチームのエンジニアが台湾に遊びに来てくれたり、一緒にワーケーションをしたこともありました。こうした自由な働き方ができるのも、弊社の魅力の一つですね。

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社内システムから金融サービス「マネイロ」のシステムまで網羅的に携わる

入社後、どんな業務にあたってきましたか? 

入社した2020年当時は、塚田さんとかつまさんと僕の3人しかおらず、モニクルフィナンシャルのファイナンシャルアドバイザー(FA)が利用する、「ADMIN(アドミン)」と呼ばれるSFA(Sales Force Automation)とCRM(Customer Relationship Management)の機能を合わせもったシステムの一部分しかない状態からのスタートでした。入社した当時は、3人しかいなかったので、とにかく現場から出てくる「こういう機能が欲しい」という要望にひたすら応えていくという開発でしたね。そこからモブプロ(3人以上で一緒にプログラミングすること)で機能開発を進めていきました。

その後、「マネイロ」の立ち上げや、モニクルの管理部が主に使用する、モニクルフィナンシャルの業務に関係する収益計算ソフトウェア「ZAIMU(ザイム)」の立ち上げに携わりました。現在はADMINチームのスクラムマスター兼エンジニアとして、チームビルディングも行っています。

ADMINに関しては、立ち上げから現在に至るまで、ずっと関わり続けておられるんですね。

ADMINが今でも使われ続けているということは、事業がうまくいっている証でもあると思っているので、そういう意味ですごくやりがいがあります。今は保守・運用も必要なフェーズなので、常に新しい困難や課題がそこにあるっていう感覚で、それはこれまで経験してきたゼロからの開発とは全く違うんです。

新規の開発には「今の時点で考える自分が考えた最強の技術スタックで作るぞ」みたいな感じで理想を追い求めて取り組んできましたが、常に使われ続けていて、数多くの機能を持つサービスではそう簡単には作り直すことができないんですよね。すでに作りかけのサグラダファミリアがあるようなものなので、うまく増築しながら修正しながらやっていかなきゃいけないような感じです。

それって、いい意味で理想とは全然違うんですよね。本当はこうしたいけど、でも現実としてすぐにはできない、だったらその中でどういう選択をとってやっていくかを、チームのみんなで頭をひねって考えながらちょっとずつ前に進んでいます。そういう進め方は今まで経験したことがなかったので、勉強になりますし、やりがいがあります。

どんなチーム作りを心がけていますか?

ADMINは社内でも最も歴史があるサービスなので、どうしてもレガシーな部分があります。そういった古くてつらい部分は、自分が面倒を見て改善をしつつ、他のメンバーには新機能開発をやって楽しくコードを書いていってほしいという気持ちがあります。花形の仕事はみんなにやってもらって、自分は門番のように保守・運用をしたり落穂拾いをしていくことでバランスよく前進していけるチームを作りたいですね。

社内初の認定スクラムマスターとして担う役割

和田さんは、今年1月に認定スクラムマスターの資格(スクラムに関する認定資格や研修プログラムを提供している国際組織であるScrum Allianceが発行するCertified ScrumMaster)を取られたそうですね。取得の経緯を教えていただけますか?

私が入社して3人エンジニア体制になってから、Jiraやスクラムを導入し、チーム開発を続けてきました。ただ、どうしてもスクラムの進め方については、書籍やインターネットで情報を調べながら、手探りでやっていくしかなかったんですよね。徐々に人が増えていき、チームが増え、組織が変革していく中で、見よう見まねでスクラムのイベントを回していくだけではうまくいかないことが増えていきました。

冷静に考えてみると、実際にスクラムマスターの知識を体系的に学んだ人は社内におらず、みんな手探り状態でやっており、誰に聞けばいいのか、何が正しいのかがわからない状態でした。そんな中、塚田さんから「スクラムマスター研修へ参加してみない?」と誘いを受け、そんな素晴らしい機会はないと、二つ返事で参加することを決めました。

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スクラムマスターについて学んだ後で、和田さん自身やチームに変化はありましたか?

僕自身で言うと、プロダクトの価値を最大化することと、そのプロダクトを作るプロセスを良くしていくことが明確に違うことがわかったことがすごく大きいと思います。例えば具体例を出すと、スクラム開発で「振り返り」というイベントがあって、1週間をスプリントだとしたら、1週間で自分たちがどんなことをやってきたかを振り返ります。本来、そこでは業務の進め方でもっとうまくやれる方法ないかっていうのを探したり、今度はこういう新しいことをやってみようとみんなでチャレンジを考えたりとか、改善をしていく場なんです。

ただ、実際にやってみると、どうしてもプロダクトに対する振り返りをしちゃうんですよね。「この機能はこうしたらもっと便利なんじゃないか」とかバグを直すための技術的な話をしてしまって。それももちろん大事ですけど、本来なら別の場所で議論されるべきことなんです。結局プロセスが全然改善されずに終わってしまいますよね。これは一例ですけど、スクラムマスターはそのスクラムイベントの趣旨をメンバーに伝えたり、開発プロセスを改善していくことでスクラムの有効性に責任を持つということが、あらためて整理できました。

プロセスを改善する役割は、非常に重要ですね。

研修に参加することで、スクラムマスターとしてやるべきことがわかったと同時に、スクラムマスターは大変な役割を担っているということもわかりました。実際にはスクラムマスターにはやるべきことをまとめたタスクリストがないからです。

それというのも、スクラムチームというのは状況に応じて異なるため、何か特定のタスクをやったら「スクラムマスターである」ということができないのです。そこで、自分が所属するチームの状況を観察しながら、開発プロセスをより良く改善していけるように問題を見つけて支援していく必要があります。

なるほど、興味深いですね…。

実際に自分のチームを見返してみると、ミーティングによっては目的が明確でなく、作業報告会のようなものが大量に行われている状況でした。まずは各会議を見直して、スクラムに沿って必要な会議を必要なメンバーで日程を調整して行うようにしました。また、デイリースクラムでは単なる作業報告ではなく、スプリントゴールが達成できそうか、また問題があれば他の人も協力してどのように解決するかということを考えて議論することができるようにしました。

結果的に、各会議の目的を共有して、議論の内容を絞ることでみんながプロダクトゴールの達成に集中して取り組み、改善が図れるようになりました。営業メンバーからは「最近はADMINがどんどん使いやすくなって、アップデートが早くて助かります」という声をいただくことが多くなりました。

それは嬉しいですね。

自分自身の能力は、0から50、50から70と、勉強しながら少しずつ高めていくことができる一方で、どれだけ頑張ってもいつか頭打ちがきますよね。しかし、自分の力でメンバーの能力を引き上げることができれば、結果的にチーム全体としてみた時の能力を自分の能力の何倍にも素早く向上させることができるんじゃないかと思ったんです。自分の能力だけが上がることよりも、チームの生産性を高めることに、今は可能性を感じています。

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スクラムマスターとしてモニクルで目指すこと

和田さんは昨年末に台湾から帰国されたんですよね。

現在は、実家がある名古屋に帰国をしていて、日本の各地を転々としながら働いています。いわゆるノマドワーカーですね。そうすることで、全国各地にいる普段会えないメンバーと会ったり、いつでも新鮮な気持ちで働けるのが楽しいです。私は台湾には詳しいのですが、日本のことはあまり詳しくありません。なので、各地に住みながらその地域のことについて詳しくなりたいなと思っています。

実は今は沖縄にいるのですが、ちょうど「RubyKaigi2024」が開催される時期だったため、沖縄に住んでいるメンバーと一緒に参加することができました。イベント自体が楽しかったのはもちろんのこと、年に数回しか会うことができなかったメンバーや、まだ一度もリアルで会った事のないメンバーと会って話ができたので、「来て良かったな」と思っています。

数ヵ月間滞在する予定なので、那覇にあるモニクルの沖縄オフィスで仕事をしながら、週末は沖縄のグルメや観光も楽しみたいと思います。沖縄には七御嶽(うたき)などのパワースポットや海の眺めが綺麗な場所が数多くあるので、スタンプラリーのように全てのスポットを巡りたいです(笑)。

和田さんの今後の展望はありますか?

今はスクラムマスターとしてADMINチームで開発プロセスの改善に向けて取り組んでいます。その中で、当たり前のことではあるんですけど、できるだけチームのみんなには楽しく働いてもらいたいと思っています。塚田さんがよく言う言葉に「そうは言っても仕事なんだから、やるべきことはちゃんとやろうよ」というのがあって。それはすごい僕の中に刺さっていて、確かに多少嫌なことややりづらさもあるかもしれないけれど、やっぱり仕事なんで、やるべきことはやらねばならない。だったら、楽しい方がいいですよね。そのためには、僕自身がみんなの生産性を上げることで、会社の事業に貢献したいと思っています。

また、ADMINに関しては今ちょうどそのレガシーなところと新しいところが混在した状態になっていて使いにくさも出てきているので、それを新しくしていく必要があると思っています。今、どんどん新入社員も増えているところなので、新しく入った人でも簡単に安心して便利に使えるプロダクトを作っていきたいです。

本日はありがとうございました。

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