モニクルならではのプロダクト開発とは? プロダクトマネージャーに聞く
「金融の力で、安心を届ける。」をミッションに掲げる株式会社モニクル。モニクルグループは、モニクルをはじめ、金融サービス事業を展開する株式会社モニクルフィナンシャルと経済メディアを運営する株式会社モニクルリサーチ(株式会社ナビゲータープラットフォーム)で構成されています。
モニクルには、モニクルグループを支えるエンジニアやデザイナー、プロダクトマネージャー、マーケター、ディレクターなど、さまざまな領域のプロフェッショナルが集まっています。そのうち、モニクルのプロダクト開発部は、グループの各種プロダクト開発や、ソフトウェア・サービスの品質向上などの役割を担っています。
モニクルのプロダクトマネージャーは、グループ企業で必要なプロダクトやシステムの開発や運用、開発チームとの調整などを行います。プロダクトの機能を包括的に理解した上で、プロダクト運用における全ての工程において、責任を担う仕事です。
今回は、プロダクト開発部のプロダクトマネージャーである坂巻咲さんに、これまでの経歴や仕事内容、今後の展望などについて話を聞きました。
株式会社モニクル
プロダクトマネージャー
坂巻咲 Saki Sakamaki
システム工学科を卒業後、データベースマーケティング会社に入社
本日はよろしくお願いいたします。坂巻さんは、モニクルに入る前は何をされていたんですか? 新卒時代のことから少し遡って教えていただけますか。
私は大学時代にシステム工学科で経営工学や統計を学んでいて、卒業研究では学生にアンケートを実施し統計に基づいて学生をグルーピングして、大学のカリキュラムをレコメンドしていく仕組みを考えました。当時は何か判断や決断をする時の根拠にデータがある感じがすごくしていて、とりあえずデータを扱う会社で働いてみたいなと思い、新卒でデータベースマーケティングをしている会社に就職しました。
具体的にはどのようなことを業務としてされていたのでしょうか?
入社した頃は、世の中は電話やDMなどのオフラインでのコミュニケーションが多かったですが、徐々にインターネットを使ったコミュニケーションが増えていた時期でした。それを受けて、インターネットでデータベースを使ったマーケティングをする子会社が立ち上がり、私はそこで勤務することになったんです。まだ実績が何もない企業で営業を担当することになりました。
いきなり子会社に配属になって、営業をされていたんですね。今とは全然違うお仕事ですね。
電話を掛けて担当者のアポを取って提案して…という流れを繰り返しやって、1〜2年経った頃に初めて案件を受注できたんです。それが結構大きな案件だったんですが、まだ会社に実績も少ない状況だったので「どうやってこれを進めたらいいのか」と不安を感じながらのスタートでした。
新人時代にしては、かなりハードな展開ですね。
会社に制作部隊はなく、ほぼすべて外注に頼んでいたので、本当に自分で考えて動き続けなければいけない状況でした。売上と外注費のバランスが崩れるとプロジェクトが赤字になってしまうので、とにかく利益管理を徹底していました。
そこで学んだことは、お客様の立場やプロジェクトの目的を踏まえつつも、会社としての利益を考えて、お客様と交渉をしなければいけないということですね。利益が確保できないと、どんなに良いものを作って結果につながっても、会社対会社のビジネスとして成功しているとは言えないと思うので、言いにくくても言わなきゃいけないことは言っていく、そういう強さを身につけられた気がします。社会人1年目にしてですけど(笑)。そのプロジェクトが終わってから、制作会社に転職しました。
次に制作会社を選んだのには理由があったんですか?
制作を外注していた経験から、社内できちんとクリエイティブの部分を担える会社にいきたいという思いがありました。あとは、クライアントワークを通じて、さまざまな業界のビジネスに触れられることも魅力的で、制作会社に行くことを決めました。
制作会社で学んだディレクションとマネジメントでのバランス
制作会社ではどのような業務に関わっていたんですか?
ディレクターとして採用サイト、ECサイト、コーポレートサイト、サービスサイトなど、さまざまな種類のウェブサイトをたくさん作りました。また、ウェブだけじゃなく、紙の制作物、ロゴ、施設のデザインなどの制作にも携わりました。コミュニケーションをビジュアルで表現することについては、一通り経験したと思います。そこでは約10年間働きました。
入社して3〜4年目ぐらいのときに、ディレクターチームのマネージャー職に就きました。そのときに、”人を見る”ことをすごく勉強しましたね。それまでも、制作するときにデザイナーやエンジニアと一緒に仕事することはありましたが、同じ職種の人に教えながら、チームとして成果を出すためにどうコミュニケーションを取っていくか、すごく勉強した気がします。
苦戦したこともありましたか。
たくさんありましたね。やはり、人によってやり方の違いや、向き不向きがあるので、全員に対して同じ伝え方はできません。例えば、最初から型を決めてあげて、それにのっとってやる方が合っている人もいるし、最初に型を決めてしまうと、それを埋めることだけが目的になっちゃって、本当にやらなきゃいけないことが抜け落ちてしまう人もいます。
あと、コツコツやっていきたい人は、初めから一人で前に出ていくよりも少しずつ実行して成果を感じてもらえるようにした方が良いと思うし、度胸のある人は初めから任せて前に出てもらった方がうまくいくこともあるし…といった形で、一人ひとりコミュニケーションを取りながら、「一番成果につながるのは何?」と考えてばかりいましたね。
「この人はこういうタイプだな」というのは、ちょっと話したら、何となくわかるものですか?
私自身、マネジメントを誰かに教えてもらったわけじゃないので、自己流のやり方ですけど、目的と概要を伝えつつ、まずは考えてみてもらい、上がってきたものを確認するようにしていました。すると、「こういう風に渡すと、こういう感じになるんだ」とわかるので、それを元に、それぞれに合ったやり方を見極めていく感じでしたね。制作する上で大切なのは、最終的に納品する成果物が目指すゴールはひとつという点なので、あくまでゴールはブレないように、方法を一緒に考えていかなくてはと思っていました。
なるほど。何かを作る過程で、いかに周りの人と協力してやっていくか、そこで坂巻さんの基盤が作られた感じがしますね。
実際の制作物においては、私自身がものを作れるわけではないので、常に誰かにお願いをして作ってもらうという関係性なんですよね。だからこそ、最大限それぞれの力を引き出すための方法を探るのが私の仕事だと思って働いていました。その背景には、「自分がとってきた仕事だから、責任を持ってクオリティを担保しなければいけない。でも、チームのメンバーにも無理はさせられない」という相反する思いがあったと感じています。
自分でとってきた仕事というと、新規案件ということですか?
新規案件の場合、制作会社では、自分自身もコンペに向けて提案書を書いてプレゼンを実施し、案件を獲得していました。まだ当時20代の未熟な自分が提案したものでも、ちゃんと目的や意図が伝わると採用してもらえることがわかって、すごく大変でしたけど、楽しかったですね。それと同時に、大事なプロジェクトで一緒に取り組むパートナーとして選んでもらったことに感謝と責任を感じて、より良い物にしたいという強い思いで取り組んでいました。
そこで、もちろんチームメンバーにも協力をお願いしなければいけないんですけど、「関わっている人たちに大変な思いをさせてはいけない」という気持ちが強すぎて、鉄壁の守りを固めていたんですよね、今考えると。とにかくリスクヘッジをして、お金もスケジュールも完全に握りきった状態で、いかに楽しく作ってもらえる状態を作れるか、一生懸命考えていたなと思います。
すごいありがたい人ですよね。
でも、その会社を辞めて気づいたことがあって、多分私がメンバーを守りすぎたせいで、みんなが失敗する機会がなかったかもしれないなって。いざというときは、私が何とかしようとしていた記憶があって、みんながかすり傷程度のけがですむように、一生懸命頑張っていた気がするんですよね。自分が血だらけになろうが…(笑)。
でも、多分大けがをしないとわからないこともあったと思うし、勝手に一人ひとりの限界を決めちゃっていた気がしていて、それはよくなかったと反省しています。今、もう一度、マネージャーをするなら、絶対に一緒に戦いを楽しむ選択をします。
その会社をやめたあとに、別の会社を一社経験してから、モニクルに入られたんですよね。
マーケティング周りの仕事もしてみたいなと思って、その機能がありそうな会社に転職しました。そこでは、ライフスタイルのウェブメディアの運営をすることになり、記事編成や記事チェックをしたり、編集者やライターの業務効率化を行ったりしました。約2年間働きましたが、入って1年くらい後に、同僚に「チームがすごいいい雰囲気になったよね」って言ってもらいました。メンバーが気持ちよく取り組めるように工夫していたのですごい嬉しかったですね。
入社の決め手は”人” リファラルで誘われて決めた
モニクルに入られたきっかけは何だったんですか?
10年間働いていた制作会社の時の同僚が、今モニクルでディレクターをしている穂積さんなんですよね。会社を辞めてからも定期的に食事に行っていたので、その時に「会社を辞めることにした」と伝えたら、モニクルはどうかと誘ってもらいました。そこからまずは話を聞いてみようと思って、CEOの原田さんと会うことになったんです。
原田さんの印象はいかがでしたか?
とても感覚的なのですが、原田さんはいかにも社長らしいというよりも、とてもフラットな方だなと思いました。シンプルに世の中に必要とされているものを作るために、まっすぐ取り組んでいるんだろうと信じられました。その後に会った役員陣からも、「金融の力で、安心を届ける。」という弊社のミッションを実現したいという思いを感じましたね。
入社の決め手は何でしたか?
一番大きかったのは、穂積さんが誘ってくれたことですね。信頼できる人がいいと言ってくれるなら安心だし、入社してからも働きやすそうだなと思いました。あとは、これから進めると聞いたプロジェクトもすごく面白そうなものばかりで、自社サービスをしっかりしている会社で、もう一度エンジニアやデザイナーとチームで仕事をしてみたいという思いも強かったですね。
モニクルで取り組むアジャイル開発への思い
モニクルに入社してからは、まずどんな仕事をされましたか?
入社してすぐにモニクルで委託を受けている社外向けの金融DXのプロダクトを担当していました。これは、今も継続して担当しています。モニクルとしては、初めての社外向けのプロダクト開発なのですが、私自身はこれまでクライアントワークを長くしてきたので、そこは違和感なく始めることができたと思います。自社でこれまで開発してきた実績を生かしたプロジェクトだったので、クライアントの思いに寄り添いつつ、自社のノウハウをがっつり学ぶことができ、入社してすぐに関われてよかったと思っています。
今は、どのような業務に携わっていますか?
先ほどお話した社外向けの金融DXのプロダクトと、モニクルの子会社である株式会社モニクルフィナンシャルのC向け新サービスの開発にも携わっています。どちらもプロダクトマネージャーかつ、スクラム開発での「プロダクトオーナー」を担っています。
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これまでのディレクターという仕事から、スクラム開発では「プロダクトオーナー」という立場を今担われていますが、そこにギャップは感じませんでしたか?
どちらの仕事も共通点があると思っていて、まず初めに目的があって、目的を実現するための機能を考え実装していく点は同じだと考えています。最初に「こういうことをやった方がいい、やりたい」という要望は、ステークホルダーからある場合も多く、それを叶えるためにどういう機能を作ればいいか、コミュニケーションをとって具体化していきます。その上で、優先順位の高低を整理して、一つずつ機能をリリースしていくというところは、これまでやってきた仕事と変わらないと感じています。
坂巻さんは、前職から通じて、ずっと「調整役」をされているような印象があります。
そうですね。求められたものを求められた形でそのまま作るのではなくて、それ以上を実現するためには、どんな作り方をすれば、一番いい成果を生み出せるかを、リソースを考えながら調整する役割だと思っています。社内のリソースにはもちろん限りがあって、でもその中で叶えたいことがあるので、そこをどうすればいいのか、ずっと考え続けていますね。
それでいうと、前職で「守りすぎてはいけないことを学んだ」と先ほどお話されていますが、今はいかがですか?
それでいうと、今は目指すゴールに向かってエンジニアが計画通りに進められるかを確認して、調整する立場なんですけど、やっぱり「アジャイル開発」に関わるようになって、さらに私自身の姿勢も変わったなと思うところもありますね。
ウォーターフォール型のやり方をしていた時は、スケジュールと稼働工数が膨らむと利益率が下がってしまうので、「1回決めたものを後戻りさせることは絶対にやってはいけないことだ」という気持ちがすごくあったんですよね。だから、その感覚が強すぎて、入社してすぐは実装前に詳細に仕様を詰めようとしすぎちゃっていたと思います。エンジニアやデザイナーに渡す前に、必ず「大丈夫ですよね。もう、戻しませんよね?」という確認を取りに行こうとしていて(笑)。
でもモニクルに入ってからは、作ってみて、使ってみて、反応を見て改善していこうよねというアジャイル開発ならではのやり方が前提なので、1つの機能を完璧に作りこんでいくというよりは、コンパクトに効果検証しやすい状態でリリースしていく感覚が強いです。ただどうしても心配性なところがあるので、もしかすると、今もやりすぎちゃってるかもしれません(笑)。
詰めすぎずに、とりあえずエンジニアと話をしてみることで、結果的にスムーズに進むこともありそうですね。
そうですね。なるべく詰めてから渡した方がいいと思っていましたが、一旦ざっくりと考えを伝えてみて、そこから議論が生まれることも多いですし、その過程を通じて良くなっていく感覚があります。そして、そうやった方が絶対にいいものができると思いますね。今は私は考えの種を作るだけで、あとはエンジニアと話しながら、具体的な形にしていく過程がとても楽しいです。
スクラム開発やアジャイル開発という型はもちろんあるけれど、会社ごと、人ごとでもやはり違いは出てきますし、進化していくものなんですかね。
私自身、型が決まっているものが苦手で、プロダクトや人が変われば、進め方や考え方もそれに応じて合わせていく必要があると思っているんですよね。やっぱり自分たちに合った形っていうのはあると思うので、モニクルなりのプロダクト開発を常に考えて変化し続けることが必要だと思います。結果的にいい形で進んでいい結果が出れば、多分それが正解になると思うので、まずはしっかりと型をわかった上で、私たちにフィットするのってどんなものなのか、コミュニケーションをとりながらやっていけたらいいんじゃないかなと思っています。
人とコミュニケーションを取りながら理解し、ものを作ることを続けていきたい
モニクルでは、社内にエンジニアもいますが、マーケティング部もありますよね。そのあたりの連携があるのは、他社にはない一つの強みなのかなと思うのですが、いかがでしょうか?
プロダクトマネージャーは数字を見ながら、ユーザー視点で機能改善をしていく役割を担っていますが、集客施策についてはマーケティング部が担っています。機能面での使いやすさを追求するプロダクト開発視点と、ユーザーの心をつかみアクションさせるマーケティング視点の両軸で考え、意見を出し合い協力し合って、プロダクトと事業全体の成長につなげていきたいと考えています。
今後、モニクルでどんなことをやっていきたいか、展望を教えてください。
まずは現状維持で、しっかりと任されているプロダクトを進化させていくことが第一ですね。あとは、好奇心旺盛なタイプなので、どんどん新しいことにも挑戦していきたいと思っています。
これまで、職種自体はいろいろと変わりましたが、やっていることの本質自体はずっと変わらない感覚があります。ゴールを目指して、人とコミュニケーションを取りながら理解して、何かものを作るっていうことはずっと変わらないんですよね。最終的にちゃんとした成果につなげることができて、かつ関わっている人たちが、気持ちよく仕事ができる橋渡しのような役割を担えるんだったら、肩書きはなんでもいいので、これからもずっとそういう仕事を続けていきたいなと思っています。
本日は、ありがとうございました!
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モニクルー編集部