毎日出社している人にとってみれば「フルリモートなんて天国じゃん!」って思うかもしれないけれど、フルリモートはフルリモートで、問題もあったりするとか、しないとか…。そのホントのところを探っていこうというのが本企画。実際に「モニクル」で働く3名をお呼びし、フルリモートのあれやこれやを聞きました。フルリモートって、ぶっちゃけどんな感じですか?
株式会社モニクル
モニクルグループ採用担当
林 夏実 Natsumi Hayashi
株式会社モニクル
プロジェクトマネージャー
坂巻 咲 Saki Sakamaki
株式会社モニクル
デザイナー
尾山 かおり Kaori Oyama
えっ、ずっと出社しなくていいの?
まずはそれぞれ、入社した時期と職務内容を教えていただけますか?
林:2021年9月に入社して、採用担当として働いています。
坂巻:私は2022年8月からなので、まだ1年経ってないくらいです。プロジェクトマネージャーとして、進行管理などを行っています。
尾山:この中だと一番古くて、2020年入社です。デザイナーです。
ありがとうございます。今回はフルリモートのあれこれを語っていただきますのでよろしくお願いします。本日は会社に集まってもらいましたが、普段は出社されてないんですよね?
坂巻:オフィスに来るのはかなり久しぶりですね。
林:私も。最近オフィスを引っ越したんですけど、新オフィスは今日が初めてです。
3人とも、以前の職場は普通に出社していたと。
坂巻:コロナになってからはリモートワークでしたけど、それまでは普通に出社していました。
林:私も。
尾山:同じくです。
「モニクル」に転職した理由は、フルリモートだったからですか?
林:前職で付き合いのあったCTOの塚田が「モニクル」にいて、お誘いいただいてっていう感じです。フルリモートだと知ったのは役員面接のときでした。
坂巻:私は前職もリモートワークが前提になっていたので、そこもひとつ転職の理由ではありました。
尾山さんはいかがですか?
尾山:フルリモートであることにこだわりはなかったんですけど、最初に聞いたときは「本当に?ひと月の間に1回も来なくていいの?」って感じでした(笑)。とはいえ、コロナが収束したら、どうせ出社になるんだろうと思ってましたけど、ずっとフルリモートですね。
最初、フルリモートに関して戸惑いはありましたか?
尾山:オンラインだけで意思疎通できるのかなとは思いましたね。でも、なんか大丈夫でした(笑)。
坂巻:前職は周りとの関係が構築されてからのリモートワークでしたけど、今回はその関係値がなく、いきなりリモートからのスタートだったので、私も最初はコミュニケーションが取りづらい部分もありました。会社にいれば、なんとなく周りとの会話が生まれるけど、いまは打ち合わせとかがない限り接点がないので。
人となりが見えないですものね。
坂巻:そうですね。新しい人との距離感とか雰囲気をつかむのは、ちょっと難しいと感じました。
尾山:出社していれば、電話を取ったり、周りから自然と聞こえてくる声のなかで、「こういうお客さんがいるんだ」とか、「こういう仕事が進んでるんだな」っていうのを徐々に理解していくけど、それもないですからね。
オンラインだけで関係を構築する難しさと、雑談の大切さ。
コミュニケーションについても聞きたいんですが、3人が実際に対面したのって何回目くらいですか?
坂巻:10回も会ってないですよね?
林:1年間で5回くらい?
どんなタイミングで会うんでしょう?
林:私は採用担当なので、例えば新しく入るメンバーがいるとして、その人が尾山さんのチームに入るとなったら尾山さんにも出社してもらって、入社日はオンボーディングしていただいたり。あとは、会社のイベントでBBQがあったりするのでそのときに。
坂巻:この前は飲みにも行きましたしね。
林:そうそう。
どういう状況だったんですか?
坂巻:たまたま出社するときに林さんも出社することになっていて、「だったら飲み行く?」みたいな感じで。フルリモートだと、飲み会もより貴重な機会になるんです。毎日出社していたら、流れでなんとなく行くこともありますけど。
そう思うと、毎日会うことでコミュニケーションが深くなるわけではないような気がしてきました。
林:あと、割と話せちゃうんですよね。SlackとかAroundで。
ビデオ会議ツールで、ということですね。「最近調子どう?」みたいな軽い会話もできるんですか?
尾山:そういう雑談が少ないので、雑談する場を設けてもいいかもねっていうところで、ちょっと前からAroundを使った雑談会が始まったんですよね。
林:発起人は尾山さん?
尾山:チームでって感じです。もうちょっとコミュニケーションが欲しいよねっていう声がやっぱりあって。
雑談会では何を話すんですか?
林:地方にもいろんなメンバーがいるので、その場所のご飯事情とか、お祭りの話だとか、前職は何をやっていたかとか、さまざまですね。
尾山さんのデザイナーという職業は、コミュニケーションがなくても仕事は成立するのかなと思ったりもするんですけど。
尾山:デザインしたものを「ハイ」って渡すことはできるけど、コーディングとか構造の疑問とか、ちょっとしたことを聞きたいときに、そうしたコミュニケーションを事前にとっていないと、ちょっと遠慮しちゃうじゃないですか。そんな小さいことも気軽に聞ける雰囲気にするために始めたんです。結果として、さらにいいものが作れるだろうし、その共創を目指してはいるんですけど。
林:とはいえ、雑談は減りましたね、出社している時代に比べれば。
尾山:一緒にコンビニ行こうよ、とかもないですもんね(笑)。
林:そうそう。それと、出社していたときは他部署の人とコミュニケーションを取れてたんです。廊下とか、トイレで会ったときとか。そういうときに、それこそ雑談があって、私は採用の立場なので、そうした何気ない会話からアラートにも気付けていたんですけど、いまは細かな情報のキャッチアップが難しいですね。
それは雑談会では解消できない?
林:私のイメージですけど、雑談会はやっぱり複数人だし、業務上で相談しやすくなるという利点はありますけど、 それ以上のキャッチアップは採用担当としてはなかなかね。
坂巻:雑談会で個人のお悩み相談が始まっても困っちゃいますしね。
なかには、孤独を感じている人もいるんですかね?
林:入社した初日からリモートだと、やっぱり難しさはありますね。私はひとりでも全然平気なタイプですけど、そうじゃない人にとってみると、やっぱり馴染むのにちょっとハードルはあるかもしれません。
坂巻:私は時間しか解決しないと思うんです。結局、仕事の上でのコミュニケーションを繰り返していくことでしか解決しないというか。別に無理しなくていいんじゃないかなって思っているタイプ。
林:置かれている立場によって思うことはバラバラですけど、私は採用チームとして、コミュニケーションの部分には取り組まなきゃっていう風に思ってます。1回、直接会って話すだけで打ち解けられる部分はあるだろうと思うので。ただ、その最初の1回が、入社して3日目なのか、1ヵ月後なのか、3ヵ月後なのかって大きく違う。そこは今後、課題かもしれないですね。
フルリモート×裁量労働=サボれる?
皆さんはいま、裁量労働制なんでしょうか?
林:私はフレックスタイム制で、尾山さんと坂巻さんは裁量労働制ですね。
ふたつの違いは?
林:労働条件が違いますね。フレックスタイム制は、この時間からこの時間までは勤務というコアタイムが設定されています。裁量労働制はコアタイムは存在せず、メンバーが出勤する時間や退勤する時間を自由に決められるという違いがあります。
実際、裁量労働でフルリモートとなると、サボれますよね?
尾山:たぶんできますね(笑)。ただ、そういう人はあまりいないです。
姑息な人はいないと。
尾山:やっぱり信頼や信用を前提にして会社が回っている気もします。
林:たしかに常識的な人は多いですね。
坂巻:そもそもフルリモートで裁量労働制だと、信頼関係ありきじゃないと成り立たない気がしますね。
お昼寝とかも、裁量労働ならできますよね。
坂巻:それはもう、全然OKですね。なので、私もお昼寝はしますよ、食後にちょっとだけ。ただ、裁量労働制とは言いつつも、普通のスケジュールで働いていた感覚が残っているので、裁量労働制っていう思いは弱いのかもしれないです。
林:たしかに皆さん、10時ぐらいに出勤して、19時ぐらいに退勤してという、ざっくりした共通の時間認識みたいなものはありますよね。
ほかにも、今日は夜飲み行く用事があるから、16:00に切り上げようとかっていうのもOKだと。
坂巻:全然できます。そういうときは、始業時間を早めたり。
林:うちの会社って、マイクロマネジメントはしないんです。要するに、今日は何をやった、何時から何時まで何をするとか、そういったものを上司に報告することがない。それはもう、みんなが信頼しあっていて、ちゃんと仕事をしてくれているという大前提があるからこそ成り立ってますよね。
尾山:前の会社は絶対に出社しなきゃいけなかったんですけど、それって上の人たちが、部下がちゃんと仕事しているかどうかを見たい側面があったと思うんですよね。この会社に入って、信頼して任されているとすごく感じるからこそ、逆に「やらなきゃ」っていう気持ちになるんです。
フルリモートで人間らしさを取り戻す。
それでは、ずばりフルリモートワークの良さはなんですか?
林:出社がないこと。それに尽きますね。
尾山:逆にいまは、どうして出社できてたんだろうって思いますもん。
以前は、どこからどこまで通ってたんですか?
林:神奈川に住んでるんですけど、そこから品川までです。東海道線は毎日激混みで、すごく嫌だったんです。朝は頑張れば座れるんですけど、夜、疲れているときほど座れなくて。しかも金曜日の夜なんて、酔っ払いの人に混ざってシラフで帰る時の悲劇といったら…。会社への行き帰りだけで、本当に精神が削られてましたもんね。
坂巻:私は会社の中にいて、仕事をしているところを見られるのが嫌なんです。例えば、教室だったら1番後ろに座っていたいし、なるべく目線を感じたくないんです。そこも良さではあります。
尾山:私は、心に余裕ができてきた。人間らしくなってきた。
林:どれだけ厳しい世界にいたの?(笑)
尾山:(笑)。でもそれって本当で、ちゃんとした時間にご飯が食べられるし、いままで夜の12時とか、ひどいときは1時とかに食べるという不規則な生活をしていたんです。でも、いまは食べたいときにご飯を食べられるし、お昼にジムにも行ってるんですよ。
林:え、そうなの!?
尾山:そうなんです。週に2回、30分ずつパーソナルトレーニングをやっていて。前までは、そんなこと考えられなかったし、出社していて「これからちょっとジムに行ってきます」とか言えないじゃないですか。自分の生活サイクルをちゃんと持てるし、ほんとにいまは、人間らしいです(笑)。
坂巻:私の夫もいまはフルリモートで働いているんですけど、それまでは2人とも出社していて、夜中と朝だけしか会える時間がなくて。いまは基本的に一緒にいて、お昼も夜も一緒に食べるし、夫婦で過ごす時間も増えるから、それもうれしいですね。
林:あと、洗濯物を毎日回せること。
尾山:そう!!
坂巻:本当にそれ。
林:出社していたときって、家のなかのことを5日間ため込んで、そのモヤモヤが週末に解消されるんですけど、いまは毎日掃除も洗濯もできますから。
尾山:私も土曜日に洗濯物を2回洗わなきゃいけなかったの!
林:そうなったら、その日に出かけられないですもんね。
坂巻:だから、週末も自由に時間を使えるようになりましたよね。洗濯も掃除もたまらないし。
出社しないことによって運動不足にはなりますよね?
坂巻:それはあります。
どう解消するんですか?
林:私はリモートワークになってから、週1回は3キロランニングして、サウナに入ってます。
坂巻:私も週1でジムに行くのと、早起きできたときは散歩に行きます。
尾山さんもジムに行かれているとおっしゃていましたが、それは前職のときからですか?
尾山:やってないです。そんな気力はなかったですね。
坂巻:行き帰りでぐったりですから(笑)。
尾山:お昼に行っちゃおうとか考えらんない!
前職のときは日曜日の夜に憂鬱になる、みたいなものはありましたか?
林:私はありました。出社していたときは、日曜日のお昼ぐらいから「明日仕事だな〜」って思っていましたね。いまもないことはないですけど、前と比べたらもう、全然。
コントラストがいま今まではすごい激しかったけど、リモートになると職場は家だし、なだらかになりそうな気がしますよね。
林:まさにそんな感じですね。
実はみんな、話したがり。
最後に、「モニクル」への入社を考えていて、リモートワークに不安を覚えている人たちに一言いただけますか。
坂巻:不安なものは不安だと思うんで、何が不安かを言ってもらえればクリアになっていく気がします。自分をしっかり持っていれば大丈夫じゃないかな。
林:うちの会社は、とにかくみんな優しいので、何も考えずに話しかけてくれていいんですよ。「わかる人、誰か教えてくださーい」みたいに。必ず誰かが答えてくれるので。しかも、実はみんな話したがりだし、飛び込んでみてもらうしかないのかなって。こっちも近寄っていくので。
尾山:「わかんない」って言えば、本当に教えてくれる。それでバカにする人とかはいないです。「そんなのもわかんないの?」みたいな嫌な人はいない。私もバカな質問とかいっぱいしているし、同じことを何回も聞くけど「それ3回目だよ!」みたいに怒る人もいないですから。
もうひとつ聞きたいのですが、フルリモートワークができるからこそ「モニクル」のメンバーは全国に散らばっています。皆さんは東京から離れようとは思わないですか?
坂巻:いまは思わないですね。
林:私、寒いのが大っ嫌いなので、できれば地元の神奈川と沖縄の2拠点生活がいいなと思っています。
尾山:私もワーケーションはしてみたいと思っています。まだやったことはないですけど、いつかやりたいですね。
林:今年の10月に、2週間ぐらい沖縄でワーケーションを試してみようかなと思っているところです。果たしてちゃんと仕事をするのか、自分へのトライですね(笑)。
尾山:これから新潟にも拠点ができるので、いまは坂巻さんと、そっちでワーケーションしてみようかって計画中です。おいしいものを食べつつ。
坂巻:朝採れの枝豆を食べたいねって(笑)。
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Writer
木村 圭佑 Kesuke Kimura