トップの2人が語る、2023年とこれからのモニクル。【前編】
2023年もあっという間に過ぎ、気がつけばもう12月。今年のモニクルも、あんなことやこんなことなど、とにかく、いろんなことがありました。というわけで、CEO原田と取締役泉田が今年1年を振り返り。モニクルプラス編集長である高村をナビゲーターに、いざ、2023年の総決算!
※2024年2月6日付で、株式会社OneMile Partnersは株式会社モニクルフィナンシャルに変更いたしました。また、2024年9月4日付で、株式会社ナビゲータープラットフォームは株式会社モニクルリサーチに社名変更いたしました。
株式会社モニクル
代表取締役CEO
原田 慎司 Shinji Harada
株式会社モニクル
取締役 グループ戦略担当
泉田 良輔 Ryosuke Izumida
愛媛県出身。慶應義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を共同設立し、代表取締役に就任(現任)。2018年11月に株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任(現任)。2021年10月に株式会社モニクルを共同設立し、取締役に就任。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京工業大学大学院非常勤講師。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」他。
採用がすべてだと気づいた2023年
高村:今年も終わりということで、前編ではおもに、2023年のことをいろいろと伺えたらと思います。
原田:いやー、今年も本当に一瞬で過ぎましたね。
泉田:そうだね。
原田:振り返ると、2013年3月に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を立ち上げてから、今年でちょうど10年ですよ。
泉田:その頃、俺まだ36歳だもん。
高村:そもそも、10年前は現在のように持株会社として株式会社モニクルがあり、その子会社として株式会社ナビゲータープラットフォームと株式会社OneMile Partners(以下ワンマイルパートナーズ、現:株式会社モニクルフィナンシャル)があるという状態になることって想像していたんですか?
原田:全然想像していなかったです。当時、泉田さんは大学院で学びながら本を書いているし、ぼくはいろいろな投資を自分でやってるし。
泉田:会社を大きくしようなんて、全然考えてなかったもんね。
高村:その意識は、いつから変わっていったんでしょうか?
原田:2018年に「ワンマイルパートナーズ」を立ち上げて、社外から資金調達したことですね。事業として必要とされているんだという実感がありましたし、必然的に規模の拡大がテーマになりました。
高村:いまは、会社を大きくしたい願望があるということですね。
原田:やっている中で思うようになってきた、という感じです。最初はまったく思ってなかったし、むしろ、10人以下で、プロだけ集めて、みたいな発想でしたから。
高村:いまは従業員も3社合わせて100名以上にまで増えましたね。やはり2023年は、大きく飛躍した年だと感じていますか?
原田:どちらかというと、今年は2024年に思いっきりジャンプするために準備をした年、という感じです。
高村:具体的に、教えていただけますか?
原田:会社が大きくなっていくときって、それを支える人たちがいないと会社が壊れちゃうんです。なので、人事もそうですし、高村さんみたいな方もそうですけど、売上を自ら稼ぐわけじゃないけれど、会社を支えられる縁の下の力持ち的な人たちを、今年はどんどん採用していきました。だから社員も、昨年末は60人でしたけど、今年はいまの時点で110人ぐらいまでになったので、倍近く増えてますね。
泉田:人も全然辞めなくなりましたね。定着率がすごいんです。
高村:その要因はなんだと思います?
原田:ずっと頑張ってきたことではあるんですけど、基盤となる組織が、やっと今年になってできたのが大きいです。どの部署にもリーダーがしっかりいて、その人が部下のメンバーをきちんと見て、ケアしてあげられるっていう。それによって、みんな快適に働けるようになりましたよね。あと、泉田さんが“ちょっと”大人になりました。
泉田:いや、それは違う。“ちょっと”じゃなくて、“だいぶ”だよ(笑)。
原田:そうですね(笑)。 以前は泉田さん、結構尖っていましたけど、今はだいぶ丸くなりましたよね。
泉田:人が辞めなくなった背景ですけど、1on1もあるかもしれない。 週に1回から2週に1回、1対1で話す場を設けたんです。ぼくからの仕事の依頼とかは基本はナシで、相談だけ受けるっていうスタイルで。 それをやっていると、フルリモートでもコミュニケーションがとれるし、リモートであってもあく抜きできるというか。一応、立場上動けるんで、なにかあったら「泉田、動きます」って感じで、他人に任せるのではなく、できるだけ自分で動くようにしました。
原田:リモートなんて、みんな初めてじゃないですか。入社してきて、「じゃあ、お願いしますね」って仕事を頼まれて、ひとりで家で仕事をしたとしても虚しいというか。それをちゃんとケアしてあげる人は、やっぱり必要ですからね。
泉田:ぼくは「リモートワーク2.0」って呼んでるんですけど、うちの会社は地方にもメンバーが多いんです。そういう人たちのところにも、主に大阪中心ですが、3ヵ月に1回は行ってご飯を食べたりしてるんです。みんなに「東京に来てください」と言うと、小さい子どもがいる社員も多いので、難しいんですよね。だから、ぼくが行くのが手っ取り早い。マネジメントが自ら移動して、みんなに会いに行ってるんです。
高村:そのこともあって、泉田さんはより忙しくなってますよね。
泉田:あと、これは2023年に気づいたことなんだけど、少数精鋭はダメですね。
高村:どういうことですか?
泉田:少数精鋭って良い風に聞こえるけど、少数精鋭=少数の人しかできない仕事しか作れてないということ。やっぱり会社を大きくしていくには、経営者としてみんなができる仕事や職場を作らないといけないんですよ。
高村:なるほど。
泉田:誰もが知ってる大企業だって絶対少数精鋭じゃないわけで。
高村:そうですね。
原田:いろんなバックグラウンド、考え方の社員の方々がいると思うんです。だけど、その人たちがちゃんと働ける素地を提供しているというのが大切だし、そうなったほうが面白いなと思いますよね。
泉田:大企業を研究してると、従業員ひとり当たりの利益って数十万円だったりするんすよ。仮に、1人が20万円の営業利益しかないとしても、何万人も集めたら、あれだけの規模のビジネスになる。
結局、そうしたら、行き着くのは「採用を強化すること」になるんですよ。すべては採用だと気づいたんです。それができた企業が勝ちだなと思ったんで、自分もマインドチェンジして、かつ、せっかく入社してもらったなら、やめさせない工夫をしないといけませんよね。
高村:人を育てるのも時間がかかりますもんね。
泉田:そう。探して、正式に決まって、慣れてもらうってなると、1年くらいかかるんですよ。それで1年と1日目に退職となったら、すべてが水の泡ですから。
原田:2024年は、2023年の倍とまではいかないかもしれないけど、引き続き採用に力を入れたいと思ってます。来年のいまごろは、より大きな組織を作れていたらと。会社として、いろんな人を受け入れられて、適材適所ができる形にしたいんですよね。
上振れした業績と、地方拠点の創出。
高村:従業員が増えたこと以外に、2023年は収益の部分も、右肩上がりでしたよね。
原田:そうですね。今年考えた計画は、だいぶ大幅に上振れして達成してます。
今年は、さっきも言ったように仕込みの年だったので、売上を稼ぐ以外の人をどんどん増やしましたけど、来年は売上を稼ぐ人をたくさん採用するんです。で、稼ぐ人たちは自分の領域以外は苦手なので、支えてくれる人がいないと成立しないんです。だから、2023年にちゃんと基盤を作ったので、 「よし、こい!」っていう感じですね。
高村:来年は急成長を遂げると。
原田:そういう年にしたいですね。
泉田:とはいっても、話が戻って申し訳ないですけど、結局は採用なんですよ。
原田:そうですね。その売上目標も、採用がしっかりできないと達成できないわけなので。
高村:いい人材を集めるためにやっていることも教えていただけますか?
原田:今年力を入れたのは、社員による紹介、「リファラル採用」ですね。社員に自分の友達や前の会社の先輩や後輩など、いい人を連れてきてもらうっていう。
エンジニアなんかは、実は半分以上がこうした紹介による採用で集まったメンバーなんです。友達が友達を紹介してくれて。例えば、新潟でエンジニアを採用できたんですけど、 彼が友達を連れてきて、新潟の人がどんどん増えはじめて、 じゃあもう、新潟のリファラル採用をサポートするために拠点を作ろうってなって、今年、新潟に拠点を作ったんです。そしたらまた、どんどん数珠繋ぎでいい人が入社してくれて。それと同じ流れで、沖縄にも拠点を作りました。
高村:ということは、今年は東京以外に拠点を2つ作ったと。
原田:あと、これはワンマイルパートナーズ(現:モニクルフィナンシャル)の営業拠点ですけど、大阪にも新しく作ったので、今年だけでグループとしては3つの拠点を新規で作ったことになりますね。加えて、本社の引っ越しもしたので、年中移転計画・実務が走ってた印象です。
高村:拠点は今後も増えていく予定なんですか?
原田:まだまだ増やします。
13億円の資金調達も通過地点。まだまだ、これから。
高村:シリーズBラウンドの13億円の資金調達に関しても、今年は大きな出来事だったかと思います。
原田:これから走るための燃料が注入できました。ぼくらみたいなのをグロース株(成長株)っていうんですけど、そのマーケットがすごい崩れていて、アメリカのシリコンバレーバンクが破綻するとか、今年はベンチャーの投資家が嫌がるようなイベントがいっぱい起きたんですよ。なので、みんなサーって引いていく中だったので、環境的にはなかなか大変でした。投資したいって言ってくれてた人も、急に投資できなくなったりしてましたから。
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泉田:シリーズAの資金調達の際もコロナ禍真っ只中だったりして、資金調達のタイミングは難しい市場環境のことが多いですが、ビジネス面はついてるんです。2018年から「ワンマイルパートナーズ(現:モニクルフィナンシャル)」をやっていますけど、つみたてNISAが2018年からで、来年も新NISAでしょ。世の中的には最高のタイミングなんですけど、資金調達のタイミングだけがね(苦笑)。
原田:ピンチのときは必ず飛躍の鍵があって、ピンチの時のアクションが、大体その後の急成長に繋がるんです。
泉田:「ナビゲータープラットフォーム」をはじめたときも、ちょうどアベノミクスのタイミングで、それはそれでよかったですしね。でも、シリコンバレーバンクの破綻のようなネガティブな状況になると、競合も元気がなくなると思うんですよ。そうしたときに投資家がビジネスを見極めようとしたら、足腰がしっかりした会社を選びたくなると思うんですよね。
原田:投資家が選別して、厳しく見てきても、耐えられる会社になってきてるのかなと思いますね。
高村:投資家からの出資が決まった瞬間は、やっぱりうれしいんですか?
原田:どちらかというと、達成感というよりも、「やっと終わった!やっと落ち着いて事業に集中できる!」っていう感じですね。
泉田:たしかに、あんまり「やったー!」っていう瞬間はないよね。いつも「はい、次!」って感じだもんね。
原田:昔はよく、周りから「お祝いしないのか?」って言われてました。会社が1周年とか、資金調達したときなんかに。だけどぼくらは「え、何言ってんの?全然まだまだだよ」って。
泉田:ぼくら、本当にお祝いしないんですよ。
原田:でも、それじゃあダメだよねって知ったのは、最近ですね。
泉田:たとえぼくらがよくても、社員はそれだと盛り上がらないし、会社としては節目も大事ですよね。みんなを盛り上げるためにはちゃんとやらなきゃねって。ぼくらも変わったんですよ(笑)。
高村:2023年は、なにかお祝いごとはされましたか?
泉田:ワンマイルパートナーズ(現:モニクルフィナンシャル)が5周年で小さなイベントをやったし、ナビゲータープラットフォーム(現:モニクルリサーチ)も10周年だったので、オンラインでみんなでご飯食べました。
原田:それが精一杯です(笑)。
泉田:ただ、12月のモニクルグループ社員総会では、会社の周年に合わせていま、ケーキを用意していて。
原田:昔だったら、そんなの考えられないですよね。
泉田:そう。これも、採用担当の柳さんがアイデアウーマンで、彼女が言うので。ぼくらでは思いつかないです。
原田:そういうことに気付ける人が入社してくれたんですよね。ぼくらにはそういう機能がついてないので。
泉田:なかなか、その辺のセンサーが弱くて…。
高村:そうなると、本当に採用に尽きますね。
泉田:結局、楽しいって思ってもらえる会社にしないと、人は来てくれないなとも最近は感じますね。
原田:いま、泉田さん直属の社員も本当に辞めないし、みんなすごい楽しそうに働いてくれてますよね。
泉田:ちゃんとケアしてるからね(笑)。
高村:お2人に、心のケアは必要ないですか?
原田:いらないですね。
泉田:ぼくは自分で自分のことを褒められるから、いらないですね。
原田:泉田さんとご飯食べに行ったら、ひたすら自慢話を聞かされるっていうのありますね。
泉田:そんなことないでしょ!
原田:いや、この間、カレー食べに行ったときとかさ。
泉田:あー、あったね(笑)。
高村:そうした食事の場などで、この会社を成長させるアイデアの種みたいなのが、生まれたりするんですか?
原田:いっつもしゃべってますからね。
泉田:実は今日、ひとつあるんだよ。パーツがバッチリはまるやつが。
原田:そうそう、こんな感じで。
やっと自分たちのフィールドでプレーできる。
高村:2023年は大きな資金提供も受けて、人も増え、拠点も増えました。会社が大きくなっている実感はありますか?
泉田:まだまだです。もっと大きくしないといけないんで。ぼく、外に行くたびに「あと3倍!」とか普通に言うようにしています。別に、これで終わりじゃないし、大きくなったとは思うけど、そこで喜んでいる暇がないんです。
高村:常に、次に次にという感じなんですね。
原田:例えるなら、いまはまだ草野球ですね。上場したらはじめて、ルールと球場が整備された場所で野球ができるようになるようなイメージだと思います。元々、ぼくらも野球場でプレーする人たち、つまり上場企業アナリストをしていたので、もっとすごい会社があることを知っているんです。そこと比べたら、もう本当に”アリンコ”くらいの感じなので。
高村:投資家対談などでも、外部から見た「モニクル」についていろいろと見聞きしましたけど、お2人は、投資家さんたちから本当に信頼されてるのを感じました。さらに、上場企業をたくさん見てきている経験があるお2人なので、いち社員ですけど、とてもワクワクしているんです。2人の本領がやっと発揮される気がしていて。
原田:それは最近なんか思いますね。やっと、自分たちの得意分野が活きるゾーンに近づいている感じがしますよね。
泉田:そう、最近は特にね。
高村:ありがとうございます。では最後に、2023年ももう終わりますが、ずばり、どんな年でしたか?
泉田:疲れました!あと、イベントが多かった!
原田:いい年でした。ただ、元旦起きた瞬間からKPIの進捗データをチェックしてる人間ですから、年末年始も働いているんだろうと思います(笑)。
次回の後編は、2024年とその先のモニクルについてのお話です。乞うご期待!
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Writer
木村 圭佑 Kesuke Kimura